昨今では、グルテンの摂取に関して見直され、小麦も全粒粉がよいとか
蕎麦も10割か韃靼そばがよいとか
様々は話を聞く機会が増えました。
では、具体的にグルテンはどのような弊害をもたらすのでしょうか?
今回は、そんなグルテンの話です。
小麦と統合失調症
統合失調症のクスリが効果不十分で、たくさん抗精神病薬を使っている人は、小麦に対する抗体(抗グリアジンIgG抗体=AGA-IgG)濃度が高い傾向であったという報告です。
AGA-IgGとは、血液検査でわかるグルテン感受性の免疫学的マーカーです。
グルテンとは…
グルテンとは、パン、パスタなどの小麦粉の加工製品を作る上で大切な、弾力性や柔軟性のもっちり成分です。小麦粉の場合、6~15 %がたんぱく質で、その約85%はほぼ同量のグリアジンとグルテニンから構成されています。
グルテン感受性(Gluten Sensitivity:GS)
グルテン感受性(Gluten Sensitivity:GS)とは、簡単にいうと、小麦を摂取することで、心身に悪い影響が出てしまう人のことです。
健常者と言われる人たちにも、潜在的なグルテン感受性の人がいるのでご注意ください。症状としては腹痛、便秘、下痢、排便習慣の変化、頭痛、皮膚発疹、関節痛、筋肉痛、脳の霧、疲労感、不安、抑うつなどが確認されます。
Elevated anti-gliadin IgG antibodies are related to treatment resistance in schizophrenia.Compr Psychiatry. 2019 Aug;93:1-6.
抗グリアジンIgG抗体の上昇と、統合失調症の治療抵抗性
まとめると
「統合失調症患者」グループと「精神疾患のない健常な方」グループでグルテン感受性の保有率に差は認められませんでしたが、
“グルテン感受性を持たない統合失調症患者さん”に比べて、“グルテン感受性を持つ統合失調症患者さん”は、抗精神病薬の投与量が多く、治療抵抗性を持つ割合が高いことが明らかになりました。
また、グルテン制限食による食事療法を、グルテン感受性を持つ治療抵抗性統合失調症患者さん1名に行ったところ、精神症状、身体症状の改善が認められました。
グルテン感受性がある人の治療は、グルテンフリー食となりますが、グルテンを止めたからと言って、薬物と異なり副作用がないのが良いところです。
一部の心身の症状が緩和する人がいるため、グルテンと精神症状の関係は、ますます関心が高まっています。
統合失調症だけでなく、発達障害やうつ状態、慢性疲労など、クスリがなかなか十分な効果がない人は、グルテンフリー食(gluten-free diet:GFD)を最低2週間、試してもらうち変化がるかもしれません。
厳密にやった人の中で、頭のすっきりしない感じ、頭痛、疲労感、憂うつなどが緩和する人がいるようです。
よい変化を体感できた人には、小麦を控えた食生活をおすすめしています。
ちなみに
2019年秋から兵庫医科大学精神科神経科の「グルテン外来」は、保険診療内で抗グリアジンIgG抗体、脱アミド化グリアジンペプチド(DGP)抗体の血液検査が行えますよ。
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