食べ合わせ

人間は食べ物について、考えれば考えるほど、そして健康ばかり考えていると不健康になるわけですが、それでもどれを食べるとか食べないとかばかり考えてしまうものです。

もちろん、およそ食べ物とは言えない食品が出回っているとも事実です。

しかしある食べ物に関しても単体だけで考えるというのはよくありません。

先住民の時代なら大した料理はありませんでした。史学を紐解けば、文明の中で貧乏の中で、人類は食べ合わせと料理を進化させてきたと考えられます。

そのような食べ合わせの中で今回は良いと言われるものを挙げてみましょう。

①魚の刺身と紫蘇の葉またはわさび

これは昔から伝えられる黄金の組み合わせですね。魚毒を制するものとして昔から紫蘇およびワサビは重宝されてきました。また紫蘇は漢方において胃薬として使われる生薬であり、動物食の胃への負担を軽減する意味もありますので、昔から使われているわけです。ただし現在の安い居酒屋の紫蘇の葉は、農薬・消毒薬まみれなので、食べない方がいいかもしれません。

②肉のステーキとローズマリーやクレソンなどのハーブ

これも黄金の組み合わせですが、ローズマリーやクレソンやバジルなどのハーブ作用や酸化防止作用、ハーブのほのかな苦味が塩と相まって食欲を刺激し、胃を助けてくれます。にんにくとステーキが合うのも似たような理由で、食欲中枢を刺激し胃を助けてくれます。実は黒にんにくとステーキを一緒に食べるとすごく美味しいのですが、あまりやっている人はいなそうですね。

③焼き魚と大根おろし

これも黄金中の黄金の組み合わせですが意味があります。大根おろしには消化酵素が含まれており消化を助け、ジアスターゼが魚の焦げなどの発ガン物質を中和すると言われています。おろしは生ということにも意味があり、ビタミンCと大根の電子還元作用(酸化した細胞を戻す働き)も働いています。味の組み合わせとしても焼かれた魚の濃いめの味と、薄くやや辛めな感じの大根おろしの味が、お互いのとがったところを打ち消す、良い組み合わせになっています。

④とんかつとキャベツ

これも黄金の組み合わせですが、なぜこの組み合わせになったのでしょうか。キャベツはミネラル豊富ですが、特有のビタミンであるビタミンUを含み、これは胃腸を保護する作用があります。油っこい揚げ物のとんかつとフィットしており、食物繊維も豊富なので酸化した油を身体の外に出す作用もあるわけです。また野菜の周波数的には、まごわやさしいが好きな方はキャベツはあまり合わず、糖質制限が合う人はキャベツは合う傾向があります。

⑤納豆とネギとオクラ

これはやらない人もいるかもしれませんがやる人にとっては鉄板です。納豆とオクラのねばねば感はムコ多糖類で免疫調整作用や抗血栓作用に優れ、この組み合わせでビタミンB群は豊富になり、ネギのアリシンはビタミンB1などの吸収率を高めてくれるそうです。また納豆はビタミンCはあまり含まれていないそうですが、ネギにはビタミンCがよく含まれているとのことで、その点でも組み合わせとしては良いと思われます。納豆は発酵食品であることにも意味があります。

⑥レバーとニラ

この料理は好きな人と嫌いな人がいるでしょう。もちろん、この組み合わせにも意味があります。レバーはあらゆる食品の中で最も栄養素が高いくらいですが、ここでもニラのアリシンがビタミンBなどの吸収を高めてくれます。またレバーは毒も貯め込みやすい臓器で匂いが気になる人もいますけど、ニラはこの臭みも軽減してくれます。またレバーは炒めた場合、どちらかというと乾燥した感じの歯ごたえになりますが、ニラはシャキッとして乾燥した感じがしません。その意味でもこの組み合わせは意味があるのですね。

⑦はちみつとレモン

昔からこの組み合わせで飲み物が作られているのも意味があります。はちみつは糖類の塊ですが、昔から東洋医学では貧困の時代にはちみつなどで身体を活性化させていました。覚醒剤的滋養強壮薬という意味でもあり、そこに甘くし過ぎないように酸味を加えているわけです。また糖類はエネルギー的な意味として、レモンのクエン酸やビタミン類は疲労を回復してくれます。だからスポーツ選手はインチキスポーツドリンクなど飲まず、自分ではちみつレモン水を作ったりしてきたわけです。

⑧カレーのターメリックと黒胡椒とらっきょうなど

カレーのこの組み合わせもいろいろ見てみると意味があるようです。ここでもラッキョウのアリシンがでてくるのですが、ターメリック=うこんであり、うこんとらっきょう=薤白(ガイハク⇒整腸作用のある漢方薬)というのにも意味があります。これらは漢方の煎じクスリを作る時の理論に通じています。また、黒胡椒はターメリックと一緒になることで、ターメリックに含まれるクルクミンの働きが増すことも分かっているそうです。
クルクミンは、歯周病の主な原因菌であるPg菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)の増殖やバイオフィルム形成を抑制することが知られています。

⑨トマトとブロッコリーとパスタトマトパスタ

もはや言うまでもない王道ですが、疲れたときに無性にオイルパスタではなく、トマトパスタを食べたくなる時がありませんか?これも一応理由があります。栄養学的にはトマトは多くのビタミンやミネラルやリコピンやクエン酸を含み、夏野菜ということもあり体を冷ますような作用があるとされています。これはパスタであっても同じ。またトマトはアボガドやブロッコリーの組み合わせでがんリスクを下げるそうですが、この辺りも単体というより組み合わせの妙です。この栄養素、冷ます作用、酸味、などと合わせてパスタがもつ糖類の覚醒剤的作用を求めて、トマトパスタを欲するのかもしれませんね。

⑩ごはんと味噌汁

いまさらですがなぜこの組み合わせに日本人は惹かれるのでしょう。白米を単純に糖類の問題しか語れないのは非常に残念です。飽食となった今でも時に欲しくなったりしますよね。玄米は糠(ぬか)がありますけどやはり大部分は炭水化物であり、エネルギー源としての役割が主ですが、味噌はタンパク質が豊富で三大栄養素をカバーしています。また味が淡泊なご飯と味が濃い味噌汁の組み合わせにも意味があり、大豆はメチオニンが少ないけど米には多いという点でも補い合っていると考えられます。またトマトパスタは冷ます組み合わせですが、米と味噌は温める組み合わせ、ここはむしろ相乗効果を期待しているわけです。

食べ合わせは、他にもいろいろあるでしょうが、自粛期間中に料理をしていると料理や調理方法も、なんだかんだと意味があるのだなと考える機会になりますね。

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