有機農産物にかける金額
これは、1人が1年間に有機農産物を食べるために使ったお金の金額を、国別に比較したものです。
単位はユーロですので、1ユーロを126円で計算しますと、日本人の場合は1,386円になります。
一方、スイス人の場合は、36,288円となります。スイス人の場合でも決して高いとは言えませんが、これは2017年におけるデータが集計されたものであって、今の2021年では有機農産物の消費率は更に高まっています。
有機農業の面積
これは、全耕地面積のうち、有機農業に使われている面積の割合が、国別に比較されたものです。
日本の場合は、全耕地面積のうち0.2%が有機農業に使われている計算になり、これは非常に少ない値だと言えます。
一方、イタリアの場合は、15.4%が有機農業に使われています。
日本とイタリアにおける、この桁違いの差は、一体何なのだろうと驚かされるところです。
有機農業とは?
有機農業というのはご存じのとおり、
「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと、並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業」と定義されているものです。
この農法は、現世の人間のためだけのものではなくて、他の動植物や微生物、大気などを含めた地球環境全体を保全するために欠かすことのできない農業形式です。
神が存在するならば、地球上の人間全員に指図するはずの農業形式です。
これに刃向かえば、子どもたちの将来における健康や幸福は実現できなくなるわけです。
特にヨーロッパの諸国の人々は理解が速く(早く)、それらの国では有機農業が日々急速に広まりつつあります。
それに較べて、日本のこの愚かさは何なのでしょうか…。
誰が健康を損ねようと、土地が痩せて他の生物が姿を消そうと、地球環境が悪化しようと、そんなことはお構い無しという態度です。本当に残念でなりません。
掲載した図の左側に一例を示しましたが、「甘いトマト」「甘いカブ」など、野菜類に甘さを求める人が存在するのは日本だけだそうです。
他の国には、例えばトマトに甘さを求めるような人は居ないということです。
諸外国の人々は、トマトにはトマトなりのクセがあるのが良いと思っているのです。
ところが日本人は、野菜の本質を知らず、野菜に対して的外れの要求をしているわけです。
そのため農家は、消費者の要求に応えるべく、有機農業などは放っておいて、甘い野菜作りに精を出すことになります。 「甘い」と「美味しい」は違うと思われますが、これも農家の人たちに、有機農業などは放っておいて「美味しさ」を優先した野菜作りをするように要求することになります。
農家も経営が大変ですから、よく売れるものを優先したいと思うことでしょう。
他にも、形の整った野菜を求める傾向も強いと言えます。
そのため農家の人たちは、有機農業よりも、形や色のよい野菜を作ることに注力することになります。
有機農業が日本で広まらない原因は、その分野の専門家の方々がいろいろと分析されていて、色々な意見が出されています。
例えば
①有機農業は手間や費用がかさむこと
②有機農業を行う農家に対して国が支援していないこと
③農薬や化学肥料を売る立場の団体が有機農業の拡大を事実上阻止していること
④農家の人が有機JASの認定を受ける手間暇が大きな障壁になっていること
⑤有機農業をすることによって昆虫類が増えるため近隣の農家から苦情が出ること
などなど色々あります。
ただ、有機農業を推し進める原動力は、やはり国民一人ひとりがどのような農産物を求めるかにかかっているのではないでしょうか。
野菜に「甘い」「美味しい」「良い形や色」を求めることが、ひいては農家の方々に諸外国とは異なった方向の野菜づくりを優先させることになってしまっているのではないでしょうか。
もし、国民の誰もがヨーロッパ諸国の人々のように
「農薬が使われていない野菜を食べたい」
「自然な環境で育った野菜を食べたい」
「健康効果の高い野菜を食べたい」
「その野菜独特の風味が強いのが好き」
などと口を揃えて言うようになれば、日本の農業も少しずつ変わっていくのではないでしょうか。
まず、国民が賢くならなければ、何事も変わっていかないような気がします。
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