すべての人にビタミンD摂取量の増加を呼びかける理由

「生死に関わる決断を下す際は、完璧なエビデンスを待つ」のではなく医師が責任を持って対処する必要がある。

元米国公衆衛生局長官リチャード・H・カーモナ博士


ビタミンDの安全性はもとより、アメリカのビタミンD欠乏症の有病率が40%であること
さらに、この冬は今回のパンデミックで最も死亡者の多い時期になる可能性が高いことを踏まえて、
カーモナ博士は医師らに「直ちに行動し、ビタミンD欠乏を確認した場合は早期の積極的なビタミンD補給で欠乏症を根絶するように」呼びかけています。

ビタミンDと免疫機能に関するこれまでの研究結果

ビタミンD3の効果は骨や歯だけにとどまりません。
特にウイルス性呼吸器感染症の予防をはじめとする免疫機能に重要な役割を果たしています。
例えば、ビタミンD3のサプリメントを摂取している人など、ビタミンD3の血中濃度が高い人は、ウイルスを原因とする呼吸器感染症の発症率が低いという科学的エビデンスがあります。

世界で最も評価の高い情報源の一つであるBritish Medical Journal誌に掲載された詳細なレビューでは、乳児期から90歳代半ばまでの参加者計11,321人を対象とした25件のランダム化比較試験の結果が評価されました。その結果、初期のビタミンD不足が見られる参加者の呼吸器感染症が、ビタミンD補給により70%減少したことが示されました。また、ビタミンD欠乏がない参加者の間でも呼吸器感染症が25%減少しました。

ビタミンD欠乏のリスクが最も高い人とは

ビタミンDは食物から摂取しにくいため、ビタミンD欠乏は世界で最も多い健康問題かもしれませんが、
日光を浴びると、皮膚の露出部分に存在する化合物(7-デヒドロコレステロール)がビタミンD3に変化します。
とはいえ、日中のほとんどを室内で過ごすか、
外出時は衣類や日焼け止めで日光を避ける人が増えている現在、
ビタミンDが不足する人が圧倒的に多いです。
他にも、

・高緯度地域の居住者(日光への露出が少ない)
・加齢(年齢と共に皮膚が日光に反応しにくくなる)
・肌の色が濃い(メラニンが紫外線の皮膚への影響を軽減する)
・肥満、肝障害、2型糖尿病といった疾患

これらも
肝臓によるビタミンD3から活性の高い25-OH-D3(25−ヒドロキシビタミンD3)への変換を減少させてしまいます。

血液検査で25-OH-D3の濃度が20ng/ml未満の場合ビタミンD欠乏と診断されます。
ただし、ビタミンD濃度の正常値は30ng/ml以上で、最適値は50~80ng/mlと考えられています。

今緊迫感が高まっている理由

最近行われた複数の研究では、ウイルス性呼吸器感染症による死亡率の増加と
ビタミンD3不足に関連性があることが示されています。
その研究の一つで、ビタミンD濃度が19ng/ml未満の場合、
ウイルス性呼吸器感染症による死亡率がほぼ100%であった一方で、
34ng/mlの濃度では死亡率が0%になったことがわかりました。
8 ベルギーの入院患者を対象とした別の研究では、
入院時の25-OH-D3の血中濃度が20ng/ml未満の場合、
ウイルス性呼吸器感染症で死亡する確率が3.7倍に増加するとしています。

big group of adults attending a yoga class outside in park

まとめ

ビタミンD3が不足している人は直ちにビタミンD3を補給すべきですし、
根本的な解決方法としては、やはり日光を直接肌で浴びること、ビタミンD3食品を摂取することが重要になってきます。
こんな時代だからこそ、昔ながらの生活を思い返すのも良いのかもしれませんね

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