医療よりも自然な最期を選ぶ:大往生の知恵と医療介入のジレンマ

Men’s health exam with doctor or psychiatrist working with patient having consultation on diagnostic examination on male disease or mental illness in medical clinic or hospital mental health service

がんという病気に直面すると、抗がん剤や放射線治療を受けることが一般的ですが、それによる最期の痛みは必ずしも起こるわけではありません。

一方、治療を受けなかった場合には痛みがなかったという事実があります。

自然死とは餓死であり、それは死に時が近づいた証です。お腹が空かず、のどが渇かないため、餓死と呼ばれますが、本人にとっては自然の流れであり、普通のことなのです。

中村医師は、京都大学医学部を卒業後、内科医として勤務しました。介護保険が導入された平成12年からは、京都の社会福祉法人老人ホーム「同和園」附属診療所で常勤医となりました。

中村医師もかつては、「がんの末期の痛みを和らげるためには、麻薬を使うのが当たり前」と考えていました。しかし、「同和園」での経験が彼の常識を大きく覆すことになりました。

それが「大往生するなら医者にかかるな」の信念を生み出しました。

「同和園」では麻薬を使用していなかったため、痛みが出た場合には病院に転院する予定でした。しかし、その心配は杞憂に終わりました。

病院では余命2〜3か月と宣告されたケースも、結局は1年近くも普通の生活を送り、苦しむことなく安らかに亡くなることがありました。こうした事例を多く目にした中村医師は、「自然な最期」が驚くほど平穏であり、医療に頼らなくても痛みを感じないという「事実」を知るようになりました。

しかし、現在ではこの「自然緩和力」はほとんど活用されていません。中村医師は言います。「病気ではない『死』に対して、医療が過度に介入するため、人間が持つ本来の力が生かされていないのです。人間の持つ自然な力を無駄な医療が邪魔しているのです。

医療の本来の役割は、人間が持つ自然の力を最大限に引き出すことなのです。」 現代では、1人に2人ががんにかかり、1人に3人ががんで亡くなると言われています。

治療法は進化し、多様化しています。どの治療法を選ぶか迷うことも多いでしょう。

しかし、そんな時に考えるべき選択肢は、「何もしないで完全に自然に任せる」ということではないでしょうか。なぜなら、多くの人が全く苦しむことなく安らかに亡くなっているという「事実」があるからです。

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