低タンパクの障害

高齢者、若年者問わずに不足している栄養素の一つがタンパク質です。

さらに、年齢を重ねるごとに消化・吸収能力は下がるので

厳密には年々タンパク質摂取量を増やしていく必要があるという意見もあります。

タンパク質はあらゆる細胞、酵素反応に関与しています。

例えば、体内に入った筋・ウィルスを除去する役割の好中球や白血球はタンパク質で構成されています。

また、骨格を動かす運動器である筋肉もタンパク質で構成されています。

意外と知られていないのがタンパク質が不足すると、まず肝機能が弱まります。

肝機能が弱まれば、脂肪肝などの状態になりやすいです。

高齢の方のフレイルや低栄養の人、減量ダイエット系の痩せ型日本女性に、(食が細い割に)隠れ脂肪肝が多くみられるのは、これが理由の一つとして挙げられます。

さらに、この低タンパクにより、ホルモンの分泌が不十分になり、代謝や酵素活性も低下します。(ホルモンの基本構成物質はタンパク質だからです)

代謝が低下すれば、体がだるくなったり、疲れやすくなります。

次第に、体の抵抗力も弱まり、病気にかかりやすくなります。

また血中のタンパク質は血管内に適切な水分を保つ役割をするため、タンパク質が不足すると血管内から外に水分がにじみ出てきます。これが浮腫み(むくみ)です。

つまり、むくみや貧血、低タンパク血症の症状のサインとも言えます。

身体がだるいと精神的に落ち込んでしまいます。

こうなると、気力やストレスに対する抵抗力を失うため、ストレスホルモンの分泌が過剰となり、胃壁などの組織からタンパク質を剥ぎ取りやすく(胃潰瘍・胃炎)、逆に内臓脂肪はつきやすい体質となります。

問題は、一般の医療機関では重度のタンパク質欠乏は指摘されるものの、こうしたタンパク質不足の場合は基準値内におさまってしまい、見逃されてしまうことです。

タンパク質不足の障害は、想像以上に大きいものです。

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