今回は保険診療の問題点についてお話しさせていただきたいと思います。いつもお伝えしているように、保険の定義と歴史を理解することが重要です。まず、保険の基本的な考え方から説明しましょう。
保険の定義と歴史
保険という概念は、古くはローマ帝国時代に遡ります。当時の商人たちは、船で商品を運ぶ際に海賊に襲われたり、船が沈没したりするリスクをカバーするために、皆でお金を積み立てていました。これが保険の始まりです。つまり、予測できないリスクに備えて、皆でお金を出し合い、困ったときに助け合う仕組みが保険の基本です。
医療保険の問題点
医療保険も同様に、病気や怪我といった予測できないリスクに対して備えるためのものです。しかし、日本の医療保険制度にはいくつかの問題点があります。
1. 3割負担の矛盾
日本の医療保険では、患者が医療費の3割を負担する仕組みになっています。しかし、これでは保険の本来の目的である「全額カバー」とは言えません。自動車保険や火災保険では、保険が適用されると全額カバーされますが、医療保険ではそうなっていないのです。
2. 税金の投入
医療費が高騰しているため、保険だけでは賄いきれず、多額の税金が投入されています。これもまた、本来の保険の定義から外れており、皆で助け合うという仕組みが機能していない証拠です。
3. 生活習慣病と保険料
韓国の例を挙げると、体重や血圧などの自己管理ができていない場合、保険料が高くなります。これにより、国民全体の健康管理意識が高まり、医療費の抑制につながっています。しかし、日本ではそうしたインセンティブがないため、生活習慣病が増加し、医療費が膨らんでいます。
日本の保険制度の矛盾
日本の保険制度は、共産主義的な要素、社会主義的な要素、そして資本主義的な要素が混在しています。
- 共産主義的要素: すべての国民が同じ医療を受けられるという点。
- 社会主義的要素: 収入に応じた保険料の徴収。
- 資本主義的要素: 多くの患者を受け入れた医療機関や医師が多くの収入を得る。
この混在が、制度の矛盾を生み出しています。
保険の本来の姿
本来、保険は予測できないリスクに備えるためのものであり、生活習慣病のように予防可能な病気については、自己管理のインセンティブが働く仕組みが必要です。また、保険が保険として機能するためには、保険料で賄いきれない部分を税金で補うのではなく、予防医療や健康教育に力を入れることが重要です。
まとめ
日本の医療保険制度は、共産主義、社会主義、資本主義の要素が混在しており、そのために多くの矛盾が生じています。保険の本来の目的に立ち返り、予防医療や健康教育を重視することで、医療費の抑制と健康寿命の延伸を図る必要があります。
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