ハーブとは、香りや味、刺激性があり、食用や薬用、虫除けに使われる植物のことです。食用の世界では、「香辛料」とも呼ばれ、この中で茎、葉、花を利用するものを「ハーブ」、それ以外の部位を利用するものを「スパイス」と定義しています。
他にも、1万を超える種類は、「カリナリーハーブ(料理用)」「ハーブ(オーナメンタルハーブ(園芸用)」「メディカルハーブ(薬用)」「アロマティックハーブ(芳香)」と呼ばれ、区別されることもあります。
名前の由来
ラテン語で草を意味する「herba(ヘルバ)」が語源で、その後英語の「herb」へと変化していきました。人間との関わり合いの歴史は古く、メソポタミアやエジプトといった古代文明ではすでにハーブが薬として栽培、利用されていた記録が残っています。
食用ハーブの種類や効能は?
1. ミント
最もポピュラーなハーブの1つで、香り成分のメントールによる爽やかな風味が特徴です。
飴やガム、歯磨き粉などの香り付けに使用され、イライラや疲労、酔い止めなど
スッキリさせる効果が期待でき、鼻もスッキリ通りがよくなるので花粉の季節におすすめです。
また、消化を促し、腹痛や胃痛を抑えるほか、殺菌効果に優れていることから、抽出されたオイルは虫除けとして夏に重宝されます。
2. マジョラム
茎や葉に淡いミントのような香りがあることから、肉料理によく使われるハーブです。
食欲増進や消化促進といった胃腸をサポートする効果が期待できるほか、頭痛や歯痛を和らげ、神経を落ち着かせる鎮静作用にも優れており、不眠症や不安症に対する症状にも有効です。
3. オレガノ
「花薄荷(ハナハッカ)」という和名を持つ、マジョラムの近縁種です。トマトやチーズとの相性がよく、イタリア料理にはかかせません。
胃腸の働きをサポートしてくれるほか、強壮作用があることから心身の疲労回復や鎮静作用があり、神経性の頭痛や生理痛の緩和、咳止めの効果が期待できます。
ただ、現在は薬用としてはほとんど使われていません。
4. バジル
ピザやパスタなどによく使われるハーブで、紀元前2,000年頃にインドからヨーロッパへともたらされました。日本に渡来した当初は、水を含ませるとゼリー状になる種を目薬として使っていたことから、「目箒(メボウキ)」という和名がつきました。
香りには鎮静作用があり、頭痛や吐き気、胃の不調を緩和に効果があります。
また、シネオールという蚊が嫌う成分を含んでいるため、夏には蚊除けの作用も期待できます。
5. セージ
サルビアの仲間で、「薬用サルビア」という別名でも呼ばれます。長寿のハーブとして古代ギリシャ・ローマ時代から薬用に用いられてきました。
葉には強い殺菌効果があり、セージティーでうがいをすると風邪や感染症の予防ができるほか、のどの痛みや腫れ、口内炎などの症状を和らげることができます。
また、強い香りと苦味があることから、豚肉の臭み消しや煮込み料理によく使われます。ソーセージの語源でもあるんですよ。
6. ローズマリー
常緑性の低木で、生や乾燥させた葉っぱが料理や薬に利用されます。特に肉や野菜の臭み消しとして使われることが多く、生肉に添えられている姿を見かけたことがあるかもしれません。
精神安定効果があり、集中力や記憶力を高める作用が期待できます。
7. タイム
ギリシャ語で消毒を意味する「thuo」が語源となっているハーブです。
語源の通り「チモール」「オイゲノール」という殺菌成分を含んでおり、消毒薬や歯磨き粉、うがい薬など様々な清潔用品に古代から使われてきました。
その清々しい香りには、リラックスや消化を促進させる効果もあります。
8. コリアンダー(パクチー)
「パクチー」「シャンツァイ」の名前でも知られ、アジア料理の香り付けにはかかせない存在です。
食べると腸内運動が活発になり、体外に有毒物質が排出されるデトックス効果が高いため、社会毒に侵された現代人には重宝されます。
また、ビタミンCやビタミンE、鉄、カルシウムなど栄養素が豊富に含まれていて、近年は、専門料理店ができるほどのブームとなっています。
9. パセリ
料理の彩りに添えられている姿をよく見かけるパセリ。野菜と比べて栄養価が非常に高く、特にビタミンCが多く含まれています。
また、口臭予防や疲労回復、食中毒の予防などにも効果があります。嫌いな人も多い反面、捨てるのがもったいないくらい、体によいハーブです。
10. チャービル
「グルメのパセリ」と呼ばれ、チャイブやバジルとともに魚や肉料理の風味付けに使われます。特にフランス料理でよく使われます。
薬として用いられることは少なくなりましたが、消化促進や血圧低下の効果があることから、昔は入浴剤や化粧品に利用されていました。
11. フェンネル
草丈が1~2mに生長する大型のハーブで、古代エジプトやローマで栽培されていた記録が残る歴史上最も古い作物の1つです。
日本でも、平安時代から栽培され、沖縄料理では整腸作用のある島野菜として用いられていました。お腹にたまったガスや便秘の解消に優れ、利尿や発汗作用があります。
薬用・芳香ハーブの種類や効能は?
1. カモミール
西ヨーロッパからアジア北部を原産とするキク科の植物で、最古の薬草と呼ばれています。日本へは江戸時代にオランダから伝わり、民間薬として広まりました。
いくつか種類がある中で、ハーブティーでよく飲まれるジャーマンカモミールには、アズレンという抗炎症作用のある成分が多く含まれ、冷え性や肌荒れなど、女性特有の悩みに有効なハーブとされています。
また、ローマンカモミールは、エステルという鎮静成分を含んでおり、不眠解消やリラックス効果があります。
2. エキナセア
免疫力を高める効果に優れているキク科の植物で、特に根に強い効能があります。ハーブティーにすることで、風邪やインフルエンザの予防に期待できます。
また、抗アレルギー作用があり、アトピー性皮膚炎や鼻炎、花粉症にも効果があるとされています。
3. ラベンダー
鮮やか案紫色の花から漂う香りには、リラックス効果や炎症作用があるとされ、ポプリや香水にも使われます。また、皮膚の炎症を抑え、肌への刺激が少ないことから、アロマテラピーをはじめる方におすすめです。
4. ジャスミン
香水やお茶、香料によく使われるハーブです。上品で甘い香りには鎮静作用があるとされ、気持ちをリラックスさせてくれます。
また、ジャスミンティーには美肌効果や女性ホルモンのバランスを整える効果があることから、女性に人気の飲み物となっています。
ハーブの種類や名前、効能を覚えて、育てよう
ハーブには様々な種類があり、効果・効能も様々。種類の数だけ使い方があるので、自家栽培するのであれば、コンパニオンプランツ(共栄作物)を活用し、いくつもの種類を育てると効果的です。
ハーブの多くは、多年草で、手入れもそれほど必要ない、手を付けやすい植物ばかりなので、ガーデニング初心者の方でも気軽にはじめることができますよ。
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