小峰式予防歯科プログラム

前回、小峰氏の口腔ケアに関する考え方のお話を致しました。

今回は、その続編

小峰式予防歯科プログラム

「小峰式予防歯科プログラムの大きな柱となるのは、一切砂糖を摂らない「シュガー・カット」、そして砂糖を摂る量を制限する「シュガー・コントロール」です。具体的なプログラムは、患者さんの状態に合わせて作成していますが、基本は患者さんの食生活をお聞きし、気づかないうちに口にしている砂糖を見つけ出してやめていただくこと。さらに細かく言うと、虫歯の患者さんには炭水化物を控えていただくことで、症状を改善に導いています。」(p.63)

「小峰式予防歯科プログラム」は長い目でみれば虫歯・歯周病予防や虫歯の炎症、さらには体の健康に大変有効ですが、すでにできてしまった虫歯を治すには長い時間がかかります。

そんなとき、ついに歯を削らずに、虫歯を治せる治療法に出会うことができました。それが、今からご紹介する「ドックベスト療法」です。

ドックベスト療法

ドックベスト療法とは、アメリカで開発されたもので、ドックベストセメントという薬を使います。成分には、殺菌作用のある銅2%と鉄1%、そして複数のミネラルが含まれており、虫歯の穴に詰めることで、虫歯菌を死滅させ、歯の再石灰化を促してくれるのです。治療時間はわずか10分、フタで密閉して新たな菌の侵入を防げれば、徐々に痛みも消え、気づかないうちに虫歯も治っているという、まさに夢のような虫歯治療法です。」(p.73)

歯を削る・抜く以外の虫歯に関するアプローチは実は確立しつつあります。

それならどうして、こんな良い治療法が広まらないのでしょう?

「ドッグベストについて書かれた多くの海外の文献を翻訳する中で、とんでもない論文を見つけてしまったのです。そこには「虫歯が自然に治ったりしたら、患者以外は誰も利益が得られなくなるため、これらの事実は葬り去られた」と書かれていました。つまり、虫歯が自然に治るということが人々に知られると、歯医者をはじめ、歯科に関する企業は存在する意味がなくなっってしまいます。そこで、この事実は伏せておくことになった、ということです。」(p.89)

残念なことですが、医療をビジネスをとらえている方は多く、こういうインセンティブは大いに働きやすいです。

「しかし確かにリウマチの患者さんの歯の根っこの治療が完了すると、リウマチの症状が改善される例を何度も確認しています。逆にリウマチは、過去に歯の根っこの治療を行っていて、現在状態が悪く再治療が必要な人に多く見られることから、リウマチと虫歯・歯周病は非常に密接な関係があると考えられます。」(p.100)

これを歯性病巣感染と言うのだそうです。

歯性病巣感染

歯の根っこなどに病巣があって、そこから菌が全身に運ばれて、別の病気を引き起こすというものです。こういうことから、歯の状態と体の健康が密接に関係してくると、小峰氏は主張されています。

がん患者と歯周病患者には、共通する特徴があるそうです。

それは

①糖質を好む

②低体温である

③交感神経が常に優位にある

④呼吸が浅い

⑤酸性体質である

という5つの特徴です。

その中の酸性体質について、唾液のpH(ペーハー)を測定することで、虫歯になりやすいかどうかがわかると言います。

たしかに、唾液が常時酸性なら、歯を溶かしやすいでしょうからね。

「唾液をアルカリ性に戻すと、かなりの確率で身体的症状が改善できるほか、虫歯の自然治癒も確認されています。また唾液のpHを測定することで隠れた体調不良を見つけ出すことができるため、この唾液検査が持つ可能性について、大きな期待を感じています。」(p.120)

酸性からアルカリ性に変えるには、やはり食べ物が重要なようです。肉類や穀類、砂糖などを避けて、野菜やキノコ、海藻、果物といった食事を増やすことが重要ですそうです。

その他の特徴への対処では、体温を上げること、副交感神経を優位にすることなどについて、以下のように言っています。

「特に免疫力を高めるため、体温を上げることは重要で、私のクリニックでも食事療法に加え、体温を36.5℃まで上げるための体温上昇プログラムを行っています。体温を上げる一番簡単な方法は、半身浴を行うこと。さらに冷たい飲み物を控えて真夏でも温かい飲み物を飲んだり、日常的に運動することも効果的です。また副交感神経を優位にするには、深呼吸をおすすめします。」(p.120)

「つまり歯周病はメタボリック・シンドロームが口の中に表れたものと言っていいでしょう。または、これから病気になる一歩手前の未病の状態とも言えます。歯周病は、初期であれば歯石を取ったり、ブラッシングをすることで治せる場合もあります。しかし重症化した歯周病は、口の中だけでは解決できないことも多く、完全に治すのは難しいと言われています。」(p.130)

肥大した脂肪細胞からサイトカインというホルモンが作られ、これが炎症を引き起こすのだそうです。ですから歯周病は、単にブラッシングの問題とか、口腔内細菌だけが原因ではないのです。

「よく「歯茎が腫れて噛めないから」とムリしてお粥ややわらかい麺類を食べる人がいますが、これは逆効果です。痛みがあるときは、むしろ食べないほうが歯に歯垢が付きにくく、細菌も増えないので早く治ります。どうしてもお腹が空いて我慢できない場合は、野菜ジュース(ただし生ジュース)を飲むといいでしょう。」(p.131)

体調が悪ければ食べない

これが動物の常識ですね。どうしてもというなら野菜ジュース。これも癌の対処方法と同じですね。

「砂糖や糖質はなぜ、ここまで体に悪いのでしょう。その答えの1つとなるのが「糖反射」です。ずいぶん前の研究ですが、東京大学の研究によると、人間は砂糖を摂ると胃と十二指腸の働きが一時的にストップしてしまうことが分かりました。」(p.139)

食物を食べたのに胃や腸が働かなければ消化不良になるし、体への負担も大きくなりますよね。

「また砂糖が悪影響を及ぼすのは、胃腸だけではありません。砂糖を摂ると、脳ではドーパミンという神経伝達物質が大量に分泌され、快感や多幸感が得られることが分かりました。疲れたときに甘いものを食べると、一瞬疲れが取れるように感じるのは、このためだと考えられます。

このドーパミンは増えすぎると感情の起伏が激しくなり、「怒り」「憎しみ」「恐怖感」というマイナスの感情が次々に沸き上がってきます。

その一方で「優しさ」や「思いやり」が減ってしまうので、どんどん自分勝手になっていきます。またドーパミンの過剰な分泌は、精神病の1つである統合性失調症を引き起こすという見解もあり、イギリスのジョン・ワトキンス博士は「この世から白砂糖をなくしたら精神病はすべてなくなる」と断言しているほどです。」(p.140)

実は、栄養学を学んでいる者の界隈では白砂糖は麻薬だという話は有名です。

中毒性があるため、最初は快感だけだったものが、徐々に依存するようになるのです。そうやって摂取量が増えるのです。

小峰氏は、歯の原料でもあるカルシウムについても、摂り過ぎは禁物だと警鐘を鳴らします。

「ただし人間に必要なカルシウム量は通常10~10.7mg/dlと決まっており、これより多すぎても少なすぎても、歯に悪い影響をもたらします。具体的には、12mg/dl以上と多量の場合は歯周病に、8.8mg/dl以下と少量の場合は虫歯になるリスクが高まることが分かっています。」(p.152)

カルシウムの摂取が不足しているから、もっと多量に摂った方が良いと思っていませんか?

では、どうしてカルシウムを摂りすぎると良くないのでしょう?

「細胞内のカルシウムが増えすぎると、今度は細胞内の濃度のバランスをとるため、水分も取り込み始めます。すると細胞はどんどん膨れ上がり、あるときパチンと弾けてしまうのです。するとカルシウム同士が結び付き、結晶化した状態で体中のさまざまな臓器に蓄積します。そのカルシウムが蓄積した場所によって、腎臓や胆のうにたまれば腎臓結石や胆石に、脳にたまればアルツハイマーに、筋肉にたまれば肩こりや腰痛の原因になるのです。」(p.154)

血液中のカルシウム濃度は一定に保たれるため、摂りすぎると細胞に取り込まれるのです。結石やアルツハイマーなどの原因がカルシウもの摂りすぎが原因とは、驚きませんか?

「さらに結晶化したカルシウムは血液中に流れ出し、ドロドロとした状態で血管の壁にこびり付いて血管を狭くします。これを「粥状(じょくじょう)アテローム」と呼んでいます。「血管の壁にこびり付いているあれって、コレステロールが固まったものではないの?」と思われた方も多いと思いますが、実は違います。あのドロドロの正体は、95%がカルシウムで、コレステロールはわずか5%に過ぎません。」(p.154)

コレステロールは悪役になりがちですが、動脈硬化や高血圧の原因と思われたコレステロールは、実は無関係だと言うのですから。そして本当の原因がカルシウムだとすると、もっとカルシウムを摂取すべきという常識が、いかに逆効果だったかと驚く他ありません。

「細胞内にたまったカルシウムを押し出すには、ある栄養素が必要となります。それはマグネシウムです。」(p.157)

つまり適切にマグネシウムを摂取すれば、細胞内のカルシウムを押し出して体内を巡るようにすることが可能になるのだそうです。カルシウムだけでなく、マグネシウムを摂取することが重要なのです。

では、そのマグネシウムは、どうすれば摂取できるのでしょう?

「マグネシウムは海藻類に多く含まれていますので、私たち日本人は日常の食事の中で、簡単に摂ることができます。」(p.157)

あるいは岩塩など天然塩にもマグネシウムが含まれているものがあるので、活用するとよいとのことです。

「そういうわけで、骨粗しょう症で悩んでいる人は、今日から薬やカルシウムを摂るのをやめ、ぜひマグネシウムを摂るようにしてください。」(p.158)

「結論として、虫歯予防のために必要なのは、シュガー・コントロールとカルシウム、そして歯周病予防には糖質制限と適度なカルシウム(摂りすぎないこと)、とマグネシウムが有効であると考えています。」(p.159)

以上、書籍より引用させていただきました。

虫歯や歯周病という口腔内の病気ですが、歯磨きを一生懸命行うよりも、このように食べ物を管理することが重要なようです。

今までの常識が音を立てて崩壊していきませんか?

アインシュタインは、「常識とは18歳までに身に着けた偏見のコレクションのことを言う」と言っています。

医学に限らず、学問は刻々と変化していきます。

私たちが学んだ常識は、いつ得た常識だったのでしょうか?

偏見をもたず、今のあなたに、最新の情報を更新していきしょう。

関連記事

  1. 難病であるパーキンソン病を自然に管理する方法

  2. 低体温

  3. 砂糖は人体に必要な物?

  4. あなたは、本当はクサイと思われていないか?

  5. 社会毒をもう一度振り返る ― 健康への影響と未来への課題

  6. 小麦と統合失調症

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。